2015年04月17日
パリで3月1日まで開かれた農業見本市に出掛けた。半世紀以上の歴史がある恒例行事で、チーズなどの農産加工品が買えるほか、家畜が大量に持ち込まれて動物園さながらだった。
見本市にはもうひとつ見どころがある。入れ替わりやってくる政治家の動向だ。大統領から首相、閣僚、政党指導者…。農業政策に寄り添う姿勢を印象づける格好の場。どれほど長く会場にいるのか。囲むメディアや来場者の「数」も注目度の「バロメーター」になる。
今年、話題の中心は極右政党「国民戦線(FN)」のルペン党首だった。3月末に地方選を控え、支持率トップのFN。勢いそのままに多くの人に囲まれ、笑顔で市民とカメラに収まる様子が報道された。滞在時間は政治家最長と報じられた。
「われわれには農家への愛と尊敬がある。今の困難な農業を救うには政治を変えるだけ」とルペン節を忘れてはいない。
他も黙ってはいない。根強い人気の最大野党党首サルコジ前大統領は「ルペン氏のことは話したくない。彼女(の存在)は悪い前兆だ」と切り捨てた。見本市は政治家のつばぜり合いの場なのである。 (渡辺泰之)