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韓国・麗水 似たような長さかな

2015年05月14日

 韓国南部の港町・麗水(ヨス)を旅した。ソウルから韓国版新幹線のKTXで約3時間半。朝鮮半島をひたすら南下し、春の気配を期待して駅に降り立ったが、季節外れの寒さに見舞われた。

 薄着で体を震わせながら、3年前に開かれた万博の会場跡などを見学し、夜はご当地料理で体を温めることに。お目当ては、私の家族そろって大好きなウナギ。韓国では長魚(チャンオ)と呼ばれ、さばいた身に辛いたれなどを塗って焼く食べ方が一般的だ。

 事前に調べた食堂にタクシーで向かった。狭い店ではなかったが、すでに席の7割は埋まっていた。たれ焼きと塩焼きを頼み、鉄板に載ったアツアツの身を韓国式に葉っぱで巻いて食べてみた。「あれっ?」

 ウナギではなくアナゴの味だった。女性店長に聞いてみると「そう、うちはアナゴです」ときっぱり。韓国では一般的にウナギもアナゴも長魚と呼ぶため日本人にはややこしい。でも味は申し分なし。アナゴのすり身が入ったスープもまた絶品で、娘がお代わりしたほど。「まあ見た目も味も、似たようなものか」。旅先で出合った幸せな味は、気持ちまで温かくしてくれた。(中村清)