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中国・寧波 1人客に見えた世相

2015年07月10日

 中国浙江省東部の寧波。唐の時代から海外貿易の拠点として栄え、遣唐使の窓口でもあった日本ともゆかりの深い街だ。

 奉化江と余姚江が合流する港町だけに、取材を終えると足は自然に屋台街へと向いた。水槽の海鮮を選び、料理してくれる店が軒を並べていたが、残念ながらいずれも店舗形式。「衛生面の指導が厳しく、以前は夜だけ許された屋外の屋台も今は禁止」とか。

 蒸しエビ、シャコのコショウ揚げ、名産の煮タケノコなどを地元産の紹興酒と共に…。

 酔眼で店内を見渡すと、貫禄ある女性の1人客がチラホラ。中国人は大勢で卓を囲むケースが多いため、違和感があった。中国の友人によると、商人の街でもある寧波は女性の老板(社長)も多く「店を従業員に任せて一杯やりにきたのでは」。

 確かに、海鮮の皿をテーブルに並べ、紹興酒だけでなく、度数の強い白酒をグイグイとやる様子は、豪快そのもの。

 中国で恐妻家は「気管炎」と言う。「妻」と「気」の発音が近いためのもじり。女老板の1人酒を横目に、さぞや寧波には「気管炎」がまん延しているだろうと同情も…。(加藤直人)