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中国・昆明 即席「昼食会」にご招待

2015年07月15日

 「メシ食っていけよ」。中国雲南省の昆明で翡翠(ひすい)業者を取材していたとき、相手の中国人男性店主(35)に食事を勧められ、一瞬戸惑った。

 中華料理店のテーブルを囲んだり、中国人家庭に招かれて一緒に食事した経験はある。しかし、ここは翡翠を加工・販売する店舗内。どこで食事をするのかと思いきや、店の隅っこにあるちゃぶ台のような小テーブルに、出前の米飯、炒め物、スープなどをずらりと並べ、すぐに「昼食会」が始まった。

 店主夫妻と子ども、従業員3人、途中から取引業者の1人も加わり、テーブルの周りは一気ににぎやかに。「中国政府が何を言っても日本とはいい関係を築くべきだ」「もっと多くの日本人が昆明に来てほしい」。大人数の食事は会話も弾む。

 実は2年前に昆明でスリ被害に遭い、財布を盗まれた経験がある。警察に被害届を出し、幸いにも現金以外は戻ったが、それ以後、昆明にはいい思いがしなかったのも事実。「近くに来たらまた寄ってくれよ」。おなかいっぱいになって店を出る際、笑顔で見送ってくれる店主の顔を見て、これまでの心の霧が一気に晴れた。 (秦淳哉)