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パリ 自由求める熱気なお

2015年08月13日

 パリにあるリベラシオン紙の本社前は、武装警官による物々しい警備が続いていた。記者証を提示、取材目的を問われ、入館を許された。1月に風刺週刊紙シャルリエブドがテロに見舞われた後、社の一角を貸したのがリベラシオン紙だった。

 「シャルリの受け入れは論理だ。お互いに1968年の運動から生まれた新聞だから」。編集長のジョフラン氏は語った。「68年」とは学生と労働者による社会変革運動「五月革命」のことだ。当時の精神を共有しているという意味なのだろう。

 「テロの対象になる恐れはなかったのか」と率直な問いをぶつけた。ジョフラン氏にも脅迫状が送られてきた。「家族を攻撃する」と脅し、墓の絵が添えられていた。だが、警護は付けなかった。「暴力によってプレスが言論を曲げることはない」

 同社にほど近いレピュブリック広場を訪れた。1月11日、デモの大群衆で埋め尽くされた場所だ。モニュメント周辺は今なお、表現の自由と連帯を訴えるメッセージであふれる。

 「パリは世界の首都になる」。あの日、大統領がこう表現した熱気は消えていない。 (渡辺泰之)