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北京 意外や粋なサービス

2015年08月21日

 中国のサービスに閉口することは多い。昼食を食べようと店に入ると、「新メニュー」の表示があったので早速注文。しかし、店員は「もう売り切れた」と素っ気ない。タクシーに乗れば、暑い夏の日なのにエアコンをつけず、ただ窓を開けて走るだけ。こっちが頼んだ後、不機嫌そうに渋々スイッチを入れる運転手を見ると、お国柄を痛感する。

 そんな折、いつも通うクリーニング店に行くと、洗濯に出すシャツのボタンが一カ所取れているのに気付いた。「ダメもと」と思いつつ、受付の女性店員に恐る恐る新しいボタンの縫い付けを頼むと、「大丈夫。同じような形のボタンを探してあげるから」と笑顔を見せた。

 数日後クリーニング店に行くときちんとアイロン掛けされたシャツに新たなボタンが見事に付いている。感謝の意を伝えると、女性店員は一緒にクリーニングに出していたズボンを指さしながら「ポケットに入れたままのハンカチも、ついでに洗っといたから」。

 追加料金を払おうとする私を制した女性店員。その粋なサービスには、心が得をした気持ちになった。 (秦淳哉)