2015年10月02日
タイとミャンマーを結んでいた泰緬鉄道の取材でカンチャナブリを訪れた。鉄道の歴史の博物館で、戦争中の出来事に思いをはせつつ川を望む場所まで行くと、すぐ先の橋から観光客の楽しそうな声が響いてきた。
映画「戦場にかける橋」の舞台として有名になった全長250メートルのクワイ川鉄橋だ。鋼鉄でできた頑丈そうな黒い橋げたが印象的だ。今は列車が1日2往復通る。その時以外は歩いて渡ることができる。線路と線路の間に鉄板が渡してあり、子どもが駆け回ることもできる。
線路脇の退避場所では、ビニール袋片手のおばさんが物を売ったり、若者がギターの弾き語りをしたり。じゃまになってはいるが、誰も何も言わない。タイのおおらかさだ。
それにしても、タイ人は本当に写真好きで、飽きるまで撮り続けるかのようだ。普段、取材の仕事をそつなくこなす女性助手(30)もこの時ばかりは仕事そっちのけ。「橋で取材だ」とせかすと「こんな有名な所にいるのに。私を撮ってください」と頬を膨らませた。平和のありがたさにも感謝し「いつもありがとう」と1枚。
(伊東誠)