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北京 ヤミ両替屋表立つ!?

2015年11月10日

 支局の口座がある北京の銀行に行くと、いつもリュックを抱えた男性がいる。中身は数10万元(1元は約20円)もの人民元紙幣。彼はいわば銀行“公認”のヤミ両替屋だ。

 「客」は主に外国人。ドルやユーロ、円を渡すと、通常レートに少し上乗せして元に両替してくれる。行員の目の前で堂々と取引し、受け取った外貨を窓口に持って行き、そのまま自分の口座に入れる。

 なぜ、そんな商売が成り立っているのか。中国では外貨を元に替える際「年間いくらまで」などの上限額がある。外国人は母国からドルなどで給料や事業資金を送金されても、元に両替できない事態が起きる。そこで彼の出番なわけだ。行員が見て見ぬふりをするのは、上限制度の矛盾を知っているからだろう。

 ヤミで両替した外貨をどうするのか。利益はあるのか、彼に取材を試みたが「そんなこと言えないよ」。中国人の事情通に聞くと「急に外貨が必要な企業や富裕層がこうした両替屋から買い取る」そうだ。もうけの方は「1万元両替して20元(約400円)ぐらいじゃないか」。意外に少ない。裏稼業も結構、地道な世界のようだ。 (平岩勇司)