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オスロ 受賞者から学ぶ平和

2015年11月25日

 チュニジアの民主化に取り組む4団体「国民対話カルテット」へのノーベル平和賞授賞発表の翌日、オスロ市内の「ノーベル平和センター」でガイドツアーに参加した。

 2階は、子どもの権利を訴える昨年の受賞者マララ・ユスフザイさんらの活動やユニセフに着目した特別展と、歴代の受賞者を紹介する常設展。今年の分も早速、電子パネルに組み込まれていた。ガイドの女性が「4団体は人権団体と法曹団体と…何だっけ」とカンペを取り出したのは、ご愛嬌(あいきょう)だ。

 希望ある子どもの写真も多い2階から、階下に行くと雰囲気が一変する。ドイツ人写真家の展示は「標的」がテーマ。常に敵がいて、誰かの敵である兵士たちだ。日本の自衛隊員も含む若い兵士らの顔や、膝から下を吹き飛ばされた遺体が重く迫る。「見ているとつらくなって、考えさせられると思う。あまりにつらければ2階に戻って」。ガイドがアドバイスした。

 直に人命を奪う戦争や紛争と人権の侵害や搾取。平和賞は双方に光を当ててきた。授賞の在り方が議論されるが、答えは簡単ではないと展示は語っていた。 (小嶋麻友美)