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上海 銅臭嫌う国柄 今は昔

2016年02月26日

 新年を迎えた上海。寒い支局で震えながら原稿を書く日が続いた。助手は室内でコートにマフラーという重装備である。

 エアコンが壊れたからだ。昨年末から実に4度目。苦情を言うと、ビル管理部門からノロノロと修理に来るが、対応がずさんなのか、すぐにまた故障。

 中国では伝統的に揚子江より北の地域では、11月から3月にかけて石炭による建物全体の集中暖房があり、室内はポカポカと暖かだ。

 この時季の最低気温が氷点下10度近い北京でも室内ではTシャツ姿でOKだ。南方はこの恩恵に浴せないため、個別の暖房がまさに冬の守りとなる。

 家賃の4分の1近い高額な管理費を支払っているのに、どうも対応に真剣味が足りない。

 業を煮やしてこう通告した。「エアコンが正常化するまで管理費は支払わない」

 たなごころを返すように、新部品を持って修理にすっ飛んできた。だが油断は禁物。お金を支払うのは、きちんと動き続けるかどうか見極めてからだ。

 「人その銅臭(金の臭い)を嫌う」との名言もある国柄だが、拝金主義の現代中国ではお金の威力も大きい。 (加藤直人)