2016年03月29日
地中海沿いのアレクサンドリアにある観光名所「カイトベイ要塞(ようさい)」を訪れた。2000年以上も昔、この場所に大灯台が存在したという話に興味を持ったからだ。
「アレクサンドリアの大灯台」と呼ばれ、紀元前3世紀に建設された。高さは120メートル以上もあり、50キロ沖合からでも光を確認できたらしい。しかし、14世紀に地震で崩壊した。
要塞は当時の材料を再利用しつつ15世紀に構築された。係員によると、要塞の建物の梁(はり)のような部分や土台の一部の石が、大灯台に使われていた材料の再利用なのだとか。確かに、壁の石とは種類が異なっていた。
アレクサンドリアの大灯台をめぐっては、これまでに何度か復元計画が話題となっている。昨年も計画を伝えるアラブメディアの報道を目にしたものの現実化しそうな気配はない。
エジプトではテロが続き、外貨収入の柱となる観光業の低迷が深刻化。要塞にエジプト人はいたが、外国人観光客の姿は見当たらなかった。こうした現状を考えると、現在のところ、光明を見通せる状況にはないようだ。 (中村禎一郎)