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米ポーツマス 自由への長距離運転

2016年04月11日

 「オバマ(米大統領)の政策につぶされる前につぶせ!」

 米大統領選の激戦州の一つニューハンプシャー州のポーツマスの演説会場の駐車場。威勢の良い政治スローガンをカラフルにいくつも書き込んだけばけばしい乗用車が目に飛び込んできた。屋根やボンネットには米国の象徴であるワシの10~30センチの模型と星条旗などをところ狭しと並べており、もはや車のメーカーすら分からない。

 この車を「リバティー・バン(自由の乗用車)」と呼び、全米行脚するリン・ファーリーさん(64)はふわりとスカートをなびかせ車を降りると「相手政党と妥協するような政治家はいらないのよ」と嘆いた。

 とにかく政府がしゃしゃり出て自由を束縛するのが大嫌い。2005年からこのぶっ飛んだ装飾を始め、ある時はアイオワ、そしてテキサスと全米の選挙を追う。「走行距離は42万マイル(約67万キロ)よ」

 地元新聞によると、装飾が視界を妨げるとしてニュージャージー州警察に検挙された経験も。しかし、運転する上で問題はないと法廷で立証し無罪。自ら政府の干渉をはねのけたつわものだった。 (斉場保伸)