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タイ・サンクラブリー 木造橋の上の珍商売

2016年05月09日

 タイ最西端近くの湖に架かる「モン・ブリッジ」を訪れた。全長445メートルで、タイ最長の木造橋と呼ばれている。

 一目見て、骨組みの美しさにほれた。幾何学的な橋脚は味わい深い。うつむきながら歩くと隙間から湖面が見え、少し足がすくんでしまう。

 歩いてすぐ、12歳の女の子2人が付いてきた。「案内してあげる。学校へ通うために働いてるの」。橋の向こうのモン族の村の子だ。すぐ歴史などをすらすらと唱え始める。なかなか流ちょうだ。暗記するために3日も練習したという。

 しばらくして短パン1枚にはだしの若者と出会う。「今から湖に飛び込むよ。金が欲しいんだ」。そう言ってあちこちから集めていた。そして、飛び込む寸前では「さあ、お金を払ったんだから、ちゃんと写真を撮ってね」。飛び込んで水面から上がってくると「どうも、ありがとう」。日本語で記者へ手を振る。サービス精神旺盛だ。

 やがて渡り終え、モン族の村へ。飛び交うのはミャンマー語で、なんとも粗末な家々の光景だった。案内役の女の子や飛び込む青年が商売熱心だった理由が分かった。 (伊東誠)