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北京 桜に夢中日本と同じ

2016年05月27日

 春の雰囲気を楽しむには花見が一番。そう思って北京の桜の名所となっている玉淵潭公園に行ってみた。入園料は10元(約170円)。公園には国交正常化の記念に日本が贈った桜など約2000本が咲き誇る。

 以前は日本人ほど写真好きの国民はいないと思っていたが、今や中国人も負けていない。公園は一心不乱に桜の写真を撮影する人で埋め尽くされていた。若者はスマートフォン用の自撮り棒を使用。桜を背景に自分を撮るのが今の正しい「鑑賞方法」のようだ。

 だが、木によじ登る人や枝を揺らして桜吹雪を「演出」する無粋な者もいるらしい。今年から公園事務所は職員を巡回させ、「悪質な行為には罰金を科す」と警告を始めた。

 公園以外でも、北京郊外の山の斜面に咲く花を撮影するため、アマチュアカメラマンが近くを走る鉄道の軌道内に侵入。危険を察知した列車が急停止したと地元紙が報じていた。

 だが、美しい花を前に、ついつい舞い上がる気持ちは分かる気がする。公園の桜を見ながら、酒を飲み過ぎて周囲に迷惑を掛ける花見客がいた国を、ふと思い出した。 (秦淳哉)