2016年06月02日
モスクワの赤の広場に隣接するワシリー坂。クリミア併合2年を受けて3月下旬に行われた政府主催の記念イベントの会場に着いて、拍子抜けした。渋滞に巻き込まれ、到着したのは開会の30分後だったのに、会場はガラガラだったからだ。
クリミアからプーチン大統領がビデオメッセージを送り、政治家が演説。有名歌手が次々にステージで歌ったが、熱気は感じられなかった。
盛り上がっていたのは、ステージ前に陣取った関係者だけ。与党や極右民族派など数百人程度だ。独立系メディアは約1.5万人が参加したと伝えた。去年の10分の1だが、多すぎるように見えた。
後でわかったのだが、これにはカラクリがあった。
ロシアでは今も赤の広場などでメーデーや戦勝記念日のような大行事があると、行政機関や企業が職員に動員をかける。勤務の一環として会場に行き、参加を証明する紙にサインすれば後は自由行動だ。
今回はマイナス4度という寒さもあって、記念イベントの開始から間もなく参加者の多くが帰ってしまったのだ。これも旧ソ連時代からの「伝統」である。 (常盤伸)