2016年05月28日
2011年に出された通達がついに効力を発揮した。
中国政府は通達を根拠にして14年末にゴルフ場の整理に乗り出したが、閉鎖対象のゴルフ場も地元政府とのなれあいでひそかに営業を続けてきた。ところが今年3月末、上海4カ所のゴルフ場が突然閉鎖され、即日重機で取り壊しが始まった。
事情通は「北京からお偉方が検分に来るとの連絡があった直後です」と声をひそめる。
もともと一斉整理の理由は水源保護や農民保護とされたが、反腐敗の嵐が役人接待の場ともなるゴルフに逆風となった。
きちんと認可を受けていたはずのゴルフ場の会員権を購入した日系企業は大損害。紙切れ同然の会員権の扱いについて、なしのつぶてのケースも。
事情通はさらに声をひそめる。「経営者の中には閉鎖で巨額補償金を受け取った人も・・・」
法治を掲げる中国だけに、通達は皆が順守すべきだ。そしてお上は正当な経済権益には公平に気を配るべきだろう。
社会主義市場経済の「社会主義」の面が、時に突出する。中国進出海外企業の脳裏に「チャイナリスク」の言葉がよぎる瞬間でもある。 (加藤直人)