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ソウル 学生服で主人公気分

2016年06月14日

 ソウル中心部を囲む昔の城壁跡を先日、友人たちと散策したときのこと。古い町並みが残る一帯で、韓国人の若者やカップルらが、詰め襟の学ランやセーラー服を着て、記念撮影をしている姿に驚いた。

 韓国の学校にも制服はあるが、今は灰色や緑色などのブレザーばかり。黒色の学生服は1970年代までは一般的で、当時を描いた映画などにはよく登場する。だが、80年代前半に自由化が進んで制服が廃止され、80年代末に復活した際に、黒い学生服は姿を消した。

 古い町並みで昔の学生服姿で記念撮影をするのは、映画の主人公になるような「コスプレ」の感覚だ。フェイスブックなどに写真を掲載し、知人に発信して楽しむ。近くに学生服のレンタル店があり、1時間5000ウォン(約500円)で貸し出していた。

 民族衣装の韓服を着て散策することも流行しているが、学生服は新たなブームと言えそう。日本では日常的に見る学生服が「コスプレ」として人気を集めている光景は、ちょっと不思議な感覚だ。もっとも、学生服を卒業してウン10年の中年のおじさんには、さすがに着る勇気は出なかった。(島崎諭生)