2016年06月28日
南フランスのある市長が、浄化対策の一環として犬のDNAを採取し、ふんを道端に残した飼い主を突き止める仕組みの導入を目指しているとのニュースを読んだ。メディアによると、実現すれば仏初の試みで、飼い主にDNA登録が求められ、罰金制度も設ける方針という。
「そこまでやる必要があるのか」。驚きとともに違和感を覚えたが、否定もできなかった。というのも道に転がるふんには悩まされているからだ。パリの美しい街並みにふと目を奪われていると、靴の下にぐにゃりと不快な感触を味わったことは一度や二度ではない。
「長く暮らせばセンサーが働き、自然と避けられるようになるさ」。友人は私の渋面を見て面白がるが、笑い事じゃない。そんな器用な芸当はできないので、結局は目線を落とし、注意深く歩くしかないのだ。
「悪いのは犬じゃない。飼い主だ」-。仏紙にこう語った市長。ごもっともで、街がきれいになることに全く異論はないが、強制的な管理措置には、やはり「息苦しさ」も感じる。ふんにおびえ、視線を落として歩く方がまだまし、とも思えてくる。 (渡辺泰之)