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韓国・羅州 「学び合い」にエール

2016年07月08日

 懐かしい雰囲気があると思ったらやはりそうだった。独特の臭みがあるホンオ(ガンギエイ)料理をはじめ、韓国の美味・珍味がそろう全羅南道(チョルラナムド)の羅州(ナジュ)。韓国大衆料理のコースが出された食堂の建物は、日本家屋を改造したものだった。

 植民地時代、水運の便の良さから多くの日本人が住んだ羅州には、その足跡が残る。当時の家が立ち並ぶ旧日本人街や、企業の支店を改装したカフェは観光の一翼を担う。欧州の王室に献上した名産の梨は、日本人が持ち込んだとされる。

 一方で悲しい歴史も。多くの朝鮮人逮捕者を出した「光州学生運動」の発端は1929年、羅州駅で起きた日朝学生の小競り合いだった。今も複雑な気持ちがあるだろう。

 だが、市の若手職員は「歴史は歴史だが、互いの良いところは学び合いたい」と言った。続けて「日本では地域の名物が『ゆるキャラ』として活躍しているんでしょ」。

 確かに羅州でも魚のエイがモデルの人形やオブジェを見かけた。が、ゆるキャラと呼ぶにはかなり不格好で・・・。「うん、お互い頑張ろう」と答え、心の中で「エイ」にエールを送った。 (上野実輝彦)