2016年07月22日
タクシーを降りてすぐ、私用のスマートフォンがないことに気が付いた。後部座席で上着のポケットから滑り落ちたのだ。大声でタクシーを呼び止めようとしたが、猛スピードで走り去ってしまった。
紛失したスマートフォンの場所を捜し出すアプリをパソコンで起動すると、現在地が表示された。アラーム音と「返してください」との表示を送ったが、その途端、スマートフォンの発信電波が途絶えた。タクシー運転手なのか、新たな乗客かは分からないけれど、電源をあえて切ったようだった。
日本円で10万円を超す代物で買ってまだ半年ほど。中国の知人は「みつけた人は返すつもりがないから、電源を切ったんでしょう。中国では、携帯電話を紛失すると、まず戻ってくることはありませんよ」と気の毒そうに解説してくれた。
数日後、中国語の勉強に行った。テキストに「拾金不昧是中国的伝統美徳(拾ったお金を猫ばばしないのは、中国の伝統的な美徳だ)」という表現。「それ、昔の話じゃないの!」。私のけんまくに、事情を知らない若い女性教師は、目を白黒させて驚いていた。 (城内康伸)