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バンコク 尽きないトイレ論争

2016年08月12日

 タイのトイレにはタイ式と洋式がある。タイ式は日本の和式とほぼ同じだ。先日、政府がタイ式を使用禁止にするとのうわさが流れ、一部関係者の間で大騒ぎに。法令を誤解した間違いと判明したが、これをきっかけにどちらがいいか、地元紙でトイレ論争が話題になった。

 洋式派が主張するのは、しゃがむタイプのタイ式だと膝に負担がかかること。確かにお年寄りや妊婦にはつらい。タイでは高齢化が急速に進み、お年寄りに優しい洋式の普及を後押しする根拠となっている。

 タイ式派も健康面のメリットを強調する。しゃがむ姿勢で腸が活性化し、便秘を予防でき、痔(じ)などの疾患にもかかりにくいという。そう言われるとそんな気もしてくる。

 既にタイ保健省は公衆トイレマスタープランを策定し、飲食店や駅、病院などで90%を洋式にするとの目標を掲げている。洋式派が有利に見えるが、タイ式派は「温水洗浄便座の技術を持つ日本でさえ、和式は根強い人気がある」と巻き返す。

 単に好みだけでなく健康、さらには地域の文化にも関わるテーマだけに、簡単に結論は出ないようだ。 (大橋洋一郎)