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タイ・カオラック 隣国でみる故郷の夢

2016年08月19日

 タイ南部のリゾート地カオラックは欧米からの旅行客でにぎわう。また、隣国ミャンマーに近く、多くのミャンマー人が生活の糧を求めて働きに来る。

 レストランで「よく働くなあ」と感心した女性がいた。小柄なタジンメイは24歳。タイ人スタッフより動きは早く、実質、店を切り盛りしている。

 生まれ育ったミャンマーのダウェーでは貧しく、両親ときょうだいの7人でタイへ。高校では成績優秀。「大学へ行きたかったけど、弟や妹が4人いたからタイで働くことにしたの」

 この地域のミャンマー人の働き口は漁業かゴム園ばかり。過酷な労働ぶりは「奴隷のよう」として、国際社会から非難されている。タジンメイが独学で学んだ英語は流ちょうで、欧米人の注文を受けることができ、レストランで重宝されている。

 異国の地で処世術を身に付けた。「ミャンマー人だから、タイ人の2倍は働かなきゃ」と。

 タジンメイは週に一度、タイ語の勉強に学校へ通う。タイでもっと稼ぎたい。それは、夢があるから。

 「家族でミャンマーへ帰って小さなお店をやりたいの」 (伊東誠)