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南京 「復興」国父の心中は

2016年08月22日

 炎暑の南京を訪れた。盆地にある南京は武漢、重慶と並び「中国三大かまど」と言われる。1時間も街を歩けば汗びっしょりになる。

 涼を求め、南京料理の店に飛び込んだ。特産の南京ダックをさかなにビールをグイっと。塩水鴨とも呼ばれ、塩と香辛料に漬け込んだカモを蒸したシンプルな料理。北京ダックのパリパリした皮もいけるが、塩辛い南京ダックの方がビールには合う。南京の友人は「こちらの方が歴史も古いです」と郷土自慢。

 再び街に出ると、通り沿いの巨大な桐(きり)の並木が快適な木陰をつくる。中華民国を建てた孫文の遺体が90年前、北京から南京に運ばれた際に通った道沿いに植えられたという。

 民国臨時政府があった総統府には「革命いまだ成らず」という孫文の遺言の内容を記した書も。革命といえば、中国は1億人に災いをもたらした文化大革命から半世紀を経て「誤り」と最終総括した。

 そして今、中国指導部が掲げるのが「中華民族復興の偉大な夢」。復興しようとするのは国威か民権か…。三民主義を唱えた孫文も永久(とわ)の眠りについた南京で、行く末を見守っていることだろう。 (加藤直人)