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ウランバートル 英雄の目に映る祖国

2016年09月12日

 かつて大帝国を築いた英雄の名残に行く先々で遭遇した。アジア欧州会議(ASEM)の取材で訪れたモンゴルの首都ウランバートル。祖国の礎をつくり上げ、今も国民からの尊敬を集めるチンギスハンの名前はさまざまな場面で登場する。

 到着した「チンギスハン国際空港」は、日本の地方空港のような雰囲気。市内の中心部から50キロ離れた場所には「チンギスハン像テーマパーク」もあった。銀色に輝く高さ40メートルの巨大な騎馬像は見る者の度肝を抜く。高級ホテルやビールの名前にもチンギスハンが登場し、現地通貨トゥグリクの紙幣には肖像画が印刷されていた。

 草原や相撲のイメージが先行するモンゴルだが、日本に親近感を持つ人が多い。理由を問うと「日本が一番苦しい時に助けてくれたから」。1990年代以後、旧ソ連からの援助が止まり困った時、火力発電所建設などで援助したのが日本だった。

 国境を接するロシアと中国に次ぎ「第3の隣国」と呼ばれる日本。武力で併合する時代は去り、平和的に発展する祖国をチンギスハンはどう思うのだろうか。地平線が広がる大自然の中で思いを巡らせた。(秦淳哉)