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上海 和食の神髄 サラリと

2016年09月28日

 上海で初の国賓館となった錦江飯店で和食料理フェアが開かれたのでのぞいてみた。日本からグランドプリンスホテル新高輪の料理長ら9人の日本人料理人が招かれて腕をふるう豪華版の和食フェアだった。

 先進都市・上海には今や3000軒の日本料理店があるといわれ日本食ファンは多い。だが、和食フェアに訪れた中国人客に話を聞いてみると、その生半可でない食通ぶりに驚かされた。

 貿易会社勤務の女性(35)は「日本食は繊細な味と美しい盛りつけを舌と目の双方で味わう食文化ですね」と、和食の神髄ともいえる特色をサラリと。

 さらに「刺し身と同じぐらい好きなのは、四国で食べたうどんです。中国の麺とは異なるこしの強さが絶品でした」。

 初めて中国勤務した1990年代、日本風居酒屋ではダシの効かない茶わん蒸しやアルコールの飛んだ熱燗(あつかん)に閉口した。

 昨年は500万人近くの中国人が日本を訪問。本物の日本の味を自分の舌で実感して中国に戻る食通が確実に増えている。

 バブルに沸く上海。悲しいことに、本物志向とはほど遠い安い日本料理店に、日本人駐在員らが足を運ぶ・・・。 (加藤直人)