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モスクワ 思わぬ難敵 紙オムツ

2016年10月14日

 見覚えのある四角いフォルム。モスクワの子ども用品店で目に留まったピンク色のそれは、間違いなくランドセルだった。

 「日本製だから品質は優れてます」。店員が話し掛けてきた。昨年末、上の娘のために日本で購入した際、中国人客に人気と聞いたが、ロシアで見かけるとは思わなかった。

 近くて遠い隣国。ロシア人と話すと、「日本は違う惑星みたいなんでしょ」と言われることがある。技術力に優れ、高品質の日本製品がイメージの源だ。自動車、家電はもとより、日用品も信頼は厚い。

 8月に家族でモスクワに赴任し、驚いた。あちこちのスーパーで日本製の紙オムツが並んでいる。日本では人気で品薄の某メーカーの製品で、日本語表示もそのままだ。「日本より手に入りやすいかもね」と夫婦で顔を見合わせた。

 日本のものづくりに誇りを感じつつ、困ったこともある。トイレデビューにいい機会と考え、赴任前から「もう日本のオムツはないからね」と、下の三歳の娘に言い聞かせてきたが、到着後、反論するようになった。「ロシアのスーパーにもあるの見たよ」  (栗田晃)