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北京 投資熱に取りつかれ

2017年03月21日

 日本に留学経験があり、中国の投資会社で働く中国の知人女性Tさんは、昨年春に軍人の男性と結婚し、旦那さんの両親が買い与えた北京のマンションで暮らしている。

 20代後半だというのに、すでに自分の家まで所有するTさんだが、昨年11月には、北京郊外のマンションを、ローンを組んで新たに買った。投資目的だ。Tさんは買った当時「数年たったら、きっと倍の価格になる」と声を弾ませていた。

 このマンション購入をきっかけに、彼女の不動産投資欲に火が付いた。年明け早々、北京の南60キロほどの街にある新築マンションを見学に出掛けた。50平方メートルの物件を、すっかり気に入ってしまった。金額は90万元(約1500万円)。自己資金30万元を用意して、利息を含めて70万元を借りて手に入れたいという。

 旦那さんや義理の両親は価格の下落を懸念し、買わないよう忠告するが、Tさんは「不動産投資の波に乗り遅れたら、損をする」と聞く耳を持たない。Tさんの熱の入れように、旦那さんは「何かが、あいつに取りついたみたいだ」と不安そうに見守っている。(城内康伸)