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中国・烏蘭察布 朝鮮戦争 記憶刻む碑

2017年05月19日

 中国・内モンゴル自治区の丘陵地が広がる烏蘭察布(ウランチャブ)。とりわけ小高い丘の上には、高さ5メートルほどの御影石の石碑が立つ。石碑の正面には、「人民英雄永垂不朽(人民の英雄は、永遠に不滅である)」と金色の文字が刻まれている。

 案内してくれた内モンゴル自治区の中心都市・呼和浩特(フフホト)の大学に通う学生さんによると、朝鮮戦争に中国人民志願軍の兵士として参戦し、犠牲となった地元の人を弔う石碑で、2014年に建立された。朝鮮戦争には、後方部隊を含めると、中国から約100万人が投入された、といわれている。

 石碑の前には、ドーム形のコンクリート製の墓が数十基。墓石には、埋葬者の名前や階級が刻まれたものもあれば、無名のものも。埋葬日は03年が目立っていた。この年が、朝鮮戦争の休戦から50年に当たることと関係があるのだろうか。学生さんは「分からない」とのことだった。

 それにしても、こんな辺鄙(へんぴ)な土地にまで、朝鮮戦争の祈念碑があるとは…。「中国と朝鮮の関係は複雑なんですね」。寒空の中、学生さんの言葉が印象的だった。 (城内康伸)