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中国・無錫 夜桜の新しい見物法

2017年05月27日

 日本人有志が中国江蘇省の無錫(むしゃく)で、桜の植樹を始めて今年で30年となり、現地を訪れた。

 日もとっぷり暮れた後、市政府外事弁公室の幹部に「夜桜見物に行きましょう」と誘われた。ところがライトアップされた桜を見た瞬間、「これは違うでしょう」と思わず声をあげてしまった。

 桜は赤、青、緑など色とりどりのライトに照らし出されている。淡いピンク色の花は当然、強烈な色彩に負けてしまう。「花見って桜そのものの美しさを楽しむものですよね」と幹部にやんわりと言うと、「これが無錫の夜桜の特徴なのです」と涼しい顔をしている。

 派手な原色を好む中国人の色彩感覚からすれば、美しいと感じるのだろう。1時間ほど見物して、ホテルに引き揚げようとするころには、私もすっかり見慣れたようで、「こういう夜桜もありかな」と思えてくるから不思議だ。

 ちなみに翌日、明るい空の下では、咲き誇る桜本来の美を十分に堪能できた。さすがは国内最大の花見景勝地。中国人観光客たちはこちらも「漂亮、漂亮(きれい)!」と大はしゃぎしていた。 (浅井正智)