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サンフランシスコ 大麻解禁が立てる波

2017年08月06日

 米国各地の高校で、6月に入って卒業式が行われた。知人宅の長男も卒業し、お祝いの週末バーベキューに呼ばれた。両親は教育熱心で、しつけはしっかり。妹ともどもカトリック系の私立に通わせていた。

 父親が焼き上げた串刺しを頬張りながら歓談していたところ、カリフォルニア州の大麻合法化に話が及んだ。20年前から医師が処方箋を発行した者に限り、鎮痛剤などの用途として「薬用大麻」が許されていたが、昨年の住民投票で、来年から酒やたばこと同様な扱いになることが決まった。

 多数決の結果とはいえ、大麻合法化を嫌悪する人たちは根強くいる。この父親も「同じテーブルに18歳の男の子がいるんだから」と、合法化談議をたしなめた。

 同州に先行し、西部ワシントン州などで合法化された。どの州でも、小売税が入って自治体が潤うとか、警察はもっと重大な犯罪に専念できるという賛成論が展開されるのが常だった。

 誰かの「ワシントン州の大学に進むの? あそこはもう合法だね」の言葉に、父親は「またその話か」と不機嫌だった。 (岡田幹夫)