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サンフランシスコ 1セントならば大丈夫?

2017年11月07日

 米サンフランシスコから郊外へ向かうバスの中でのこと。若い男性が乗ってきて、運転手の脇の料金箱に硬貨を入れ始めた。ズボンのポケットからつかみ出しては、勘定せずにジャラジャラと流し込む。走行距離が長いので運賃は市内より高くなり、ジャラジャラも長くなる。

 料金箱は合計額を表示する機能が付いていて、運転手はそれを見ていた。男性は3回目のジャラジャラを途中で止めて「グッド?(もういいか)」と運転手の顔をのぞき込んだ。運転手は「グッド(もう十分)」。

 小銭に対して何と大ざっぱな感覚かと思っていたが、似たようなことが最近、自分の身に降りかかった。

 ある店で5ドル1セントのお釣りをもらう時のこと。若い店員がレジから5ドル札を取り出し、次に1セント硬貨をつまみ上げようとしたところ、その位置が空になっていた。しばらく「うーっ」と苦悶(くもん)したあと、意を決したかのように5ドル札だけを私に突き出した。そこは全国展開する大型店なのに、帳尻はいいかげんなのだろうか。

 今度「1セントまけろ」と言ってやろうか。その要求は通らないだろうけど。 (岡田幹夫)