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北京 カナヅチ克服に奮闘

2017年11月29日

 カナヅチの私は55歳を目前にして一念発起。自宅近くの体育館で、水泳の個人レッスンを受け始めた。

 プールで見かける中高年の人々はみな、泳ぎの上手な人ばかりだ。レッスンを受けているのは、若い女性や小さな子供たちばかり。泳ぎを指導してくれる男性コーチは「日本人はみんな泳げる、って聞いた。あんたはどうして泳げないの?」と、胸にグサリと突き刺さるようなストレートな質問をぶつける。

 この年になって、泳ぎを学び始める人は中国では、そう多くないそうだ。

 まずは平泳ぎの足の使い方から。ビート板を手に、必死に足で水をかくものの、ちっとも前に進まない。「違う、違う。股関節が硬いなあ」とコーチの厳しい指摘。私は「どうも不器用なもんで。すいません」とこうべを垂れざるを得ない。

 顔面を水に浸し、もがいていると、「あのおじいさん…」という幼子の笑い声がかすかに聞こえた。さぞかしぶざまな姿なのだろう。顔がほてる。全10回、日本円で約4万円のレッスン料を無駄にしてはいけない。「恥にもマケズ」の思いで次回も通う。 (城内康伸)