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ロンドン 議場の線の真相は?

2017年11月24日

 家族で民主主義の歴史を学ぼうと、ロンドンにある英国会議事堂の子ども向けツアーに参加した。本来は「ウェストミンスター宮殿」といわれ、国王の建物。女王の控室や上院の議場を経て、国王が足を踏み入れることができない下院へと続く。

 与野党が対面して腰掛ける下院本会議場は、とにかく狭い。定数は650と、日本の衆議院の465より多いが、ガイドの説明では「427人しか座れません」。確かにテレビ中継では、あふれた議員が通路に立っているのをよく見る。

 議場はドイツ軍の空襲に遭い1945年に再建されたが、時の首相チャーチルが拡張も設計変更も認めなかった。「大きい議場は声が聞こえない」が持論だったらしい。

 議場の床に与野党を分ける赤い線が2本、引いてある。昔、社会科の授業で習った知識を長男にひけらかす。「お互いが議論で熱くなって剣を抜いても、相手に届かない距離に線を引いたんだ」。ガイドに同意を求めると「迷信ですね」とばっさり。「歴史上、議場で剣の携帯が許されたことはありません」。この「迷信」、信じている人は多いと思うが・・・。 (阿部伸哉)