2017年12月06日
タイのインラック前首相の最高裁判決を取材中、「前首相が欠席、国外逃亡」の報に大慌てした経緯は先日の当欄で紹介した。この結果、判決公判は9月27日、改めて開かれた。果たして、またも想定外が。
開廷は日本時間の午前11時と聞いていたのに、始まったのは午後1時すぎ。別の事件の判決言い渡しがあったためだという。2時間以上遅れ、夕刊の締め切りに間に合わなくなった。
このくらいは序の口。名古屋で司法担当を2年余りした私にとってもっと驚きだったのは、少なくとも地元メディア2社が開廷中に「前首相に禁錮5年の実刑」と速報したことだ。
タイでは判決の結論に当たる「主文」の読み上げが後回しにされる。裁判長が法廷でまだ「禁錮5年」と言っていない段階での速報だった。地元メディアの特ダネに脱帽するしかない。
ただ、判決の内容が事前に外部に漏れていた、との疑念が残る。もし日本で起きたら、一大スキャンダルだ。前首相が国外逃亡したのは、実刑で収監されるのを恐れたため、とされている。もしや前首相の耳にも、事前に「禁錮5年」が届いていたのだろうか。 (山上隆之)