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中国・防川 中ロ朝の壮大な構想

2018年01月11日

 11階建ての展望台に上ると、図們(ともん)江(北朝鮮名・豆満江(トマンガン))の右手に北朝鮮、左手にはロシア、自分がいる場所は中国吉林省の防川(ぼうせん)。地平線のさらに向こうには日本海が青く見える。

 取材で吉林省を訪れた際、現地ガイドに「きょうは天気がいいので、足を延ばしませんか」と提案され、行ってみた。

 3カ国の国境が接する風景を一望できるとは知らなかった。タイとラオス、ミャンマーが接する「黄金の三角地帯」のいわば北東アジア版だ。

 防川といってぴんとこなくても、日中戦争中の1938年に、日ソ国境紛争「張鼓峰事件」があった場所の近くといえば、イメージがつかめるだろうか。

 5年前に展望台ができ、観光客が訪れるようになった。特別なものは何もない。まさに究極の辺境ツアー。気づくとスマートフォンの電波時計が30分進んでいる。中国時間より30分早いのは北朝鮮時間だ。

 200億元(約3400億円)を投じ、ここを中心に3カ国共同観光区にする壮大な構想が持ち上がっているという。北朝鮮にも外貨が落ちるから、かの国にも悪い話ではないが、さて実現性やいかに。 (浅井正智)