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仏ジベルニー 浮世絵ずらりモネ邸

2018年01月25日

 印象派と浮世絵の関係は聞き及んではいたが、まさかここまでとは。

 パリ北西の小さな街ジベルニー。モネが半生を過ごした家を訪ねた。玄関付近の壁から目に付き始めた葛飾北斎や歌川広重のコレクションは序の口。その数は館の奥に進むにつれて増え、喜多川歌麿、そこに明治の錦絵も加わり、食堂に至っては壁中がほぼ浮世絵で埋め尽くされる。尾形光琳もある。

 その食堂に一枚の白黒写真が。数々の浮世絵をバックに、ご満悦のモネが立っている。「これでもか」という絵の配列は、ご本人の意向という証拠だ。

 思い起こすのは、2004年にわが故郷の浜松市で開かれた浜名湖花博。モネの家と庭が再現され人気を博したが、内心で「ここまでしなくても」とやや気恥ずかしさも感じた。しかし浮世絵ずくめの「本家」に来て、日仏は片思いの関係でないと実感。花博では館の内部まで再現していなかった。

 館を出て、モネがスイレンを描き続けた池に向かった。池の端で背中を反らせながら記念撮影。急に感じた日本人の誇りで、年がいもなくはしゃいでしまった。 (阿部伸哉)