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米デトロイト 廃虚の街 希望は遠く

2018年02月01日

 足を踏み入れると、廃屋が軒を連ねる「ゴーストタウン」が広がっていた。米ミシガン州デトロイトの一角。自動車産業が米国の屋台骨として盛んだったころには、工場従業員と家族の笑顔が絶えなかった地区だ。しかし、工場の海外移転などで解雇が相次ぎ、多くの人が家を手放さざるを得なくなった。

 トランプ米大統領は、製造業の復活を唱え、デトロイトのようなラストベルト(さびた工業地帯)から熱烈な支持を受けて当選した。それから約1年。支持者を取材するため、この地区を訪れ、トランプ氏に投票したという白人女性のブランディ・ウェザーホルツさん(34)に、自宅前で出会った。

 ウェザーホルツさんは昨年2月から、デトロイトに住む。750ドル(約8万5000円)で購入した自宅は、窓ガラスが割れたまま。「最近はデトロイトでも仕事が増えた。トランプを今も支持する」と話したが、周囲に明るさは感じられない。ウェザーホルツさんも無職だ。

 荒廃した街の勢いを取り戻すのは容易ではない。トランプ氏が声を張り上げ、支持者がいくら信じても「希望」の文字は遠くにかすむ。 (東條仁史)