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中国・重慶 習思想で接客改善?

2018年04月05日

 中国内陸部・重慶市の名物は「火鍋」。さんしょうと唐辛子がたっぷり入ったスープに野菜や肉などを入れて食べる。出張ついでにぜひ食べたいと、かなり夜が遅くなっていたが、ホテル近くの店に入った。

 店内には客が2組。しばらくすると、私たちだけになった。責任者らしき人がテーブルに来たので、帰ってほしいと言われるのかと思ったら「本当は閉店だが、もっと食べていい」。商魂を感じつつも、ありがたくゆっくり味わった。

 重慶の前に訪れた北京では、事前の電話に「予約は必要ない」と言った店が、集団客で満席。だが、30分ほど待つ間には、菓子や茶が出された。案内されたのは明らかに臨時で置いたテーブルだったが、心遣いと料理のおいしさに、待たされたイライラは吹き飛んだ。

 社会主義国の店といえば無愛想、融通が利かないというイメージで、中国駐在の同僚によれば、このようなことはまだ珍しいという。昨秋、発表された習近平(しゅうきんぺい)総書記の思想「新時代の中国の特色ある社会主義」。重慶の街の所々に掲げられたスローガンを見ながら「これが特色ある・・・」と妙に納得した。 (境田未緒)