2018年02月15日
先月下旬、成田発上海行きの飛行機が欠航となり、いら立った中国籍の男が航空会社職員に暴行し逮捕される事件があったが、これを巡り中国のネット世論がまたも沸騰した。「航空会社は日中の乗客を区別して扱い、日本人を優遇した」と。
実は、当上海支局の中国人助手もこの飛行機に搭乗予定で、現場をつぶさに見ている。「航空会社は日本人を優遇したわけではない。ネット情報は完全な間違い」と断言する。航空会社が中国語の分かる人を応対に出さず、誤解が生じたようだ。
またかという感じだが、何かにつけて「日本対中国」の不毛な図式に押し込む中国のネット世論には正直うんざりする。
助手は「中国大使館は中国人客に甘すぎた」と意外なことも言う。今回、中国大使館員が空港に駆けつけ、騒ぎの鎮静化を図った。結局、航空会社は中国人客に食事代を補償することで決着した。
欠航の理由は悪天候であり、こうした場合、航空会社は一般的に補償の責任を負わない。ルールを超えたこの解決方法が今後、同様のトラブルが起きた時、「あしき前例」になる懸念は拭えない。 (浅井正智)