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中国・延安 昔と変わらぬ寝台車

2018年04月28日

 中国陝西省の延安に出張した際、降雪の影響で北京に戻る飛行機が2日連続して欠航となった。一度は空港での安全検査を終えたものの、待合室にいる間に「雪で延安着の飛行機が北京に引き返した」と非情のアナウンスが。不運を嘆きつつ、夜行の寝台列車で北京に戻れることが分かって、駅に向かった。

 料金は350元(約6000円)。中国の寝台列車は大学生のころ以来、約25年ぶり。2段ベッドが2つある個室の雰囲気は当時と変わらない。中国人が夜遅くまでおしゃべりに花を咲かせるのも同じだ。

 「寝ている時にはドアに鍵を掛けるように。テーブルの上に財布やスマホを置いていると盗まれるから気を付けて」。ゆっくりと列車が動きだすと、巡回に来た乗務員が告げた。サービスは少し向上したようだ。

 ベッドに横になると、列車の振動がズシンと体全体に伝わってきた。心地良い揺れとは言い難い。だが、どこか懐かしい。眠りに落ちて7時間後、地平線を昇る太陽の光で目が覚めた。車窓の外は、かつてどこかで見たような気もする光景。少し名残惜しい気持ちのまま、列車を降りた。 (秦淳哉)