2018年05月22日
フィリピンのマニラ郊外で取材を終え、中心部に戻ろうと、行きに使ったタクシーの運転手に電話した。教えられた番号にかけても一向に出ない。「必ず迎えに来るから」と言っていたのに…。
あきらめて通りに立ったが、案の定、タクシーはなかなかつかまらない。代わりに小型乗り合いバス「ジプニー」は頻繁に通過する。仕方ない。思い切ってジプニーに乗ってみた。
両側の長いすに向かい合って座る。地元の女性客と目が合って、どきり。冷房はないけれど、吹き抜けの窓からの風が涼しい。運賃は8ペソ(約16円)。後部に乗った客は運賃を隣の客に渡し、バケツリレーのように運転手に届く。お釣りも同様にバケツリレーで。だれもが面倒くさがらない。
駐留米軍払い下げのジープを改造したのが始まりという。車体に書かれた行き先を確認して乗り、路線内ならどこでも乗り降りできる、と後で知った。
しばらく乗っていると、大きな交差点で客待ちのタクシーの列を見つけ、慌てて降りた。ジプニーの運転は少々乱暴だったが、市民の「足」は便利で快適だった。 (山上隆之)