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北京 突然やってきた「客人」

2018年06月20日

 北朝鮮からの突然の「客人」がやってきた。北京駐在のマスコミ各社は、金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長の宿泊先の釣魚台国賓館に大挙して詰め掛けた。

 七年前、故金正日(キムジョンイル)総書記が北京を訪れた時も取材した。深緑の専用列車で到着、車列に守られ釣魚台と人民大会堂をベンツのロングボディーが行き交う。父の足跡をたどるような振る舞いに既視感を覚えた。

 情報を頼りにタクシーや地下鉄で金正恩委員長の行き先に駆けつける。ハイテク企業などが集まる市北西部の中関村では、ものの五分で警察のパトカーや武装警察が集まり、何も知らない市民は追い払われた。

 雁行(がんこう)型に隊列を組んだオートバイを撮影しようとすると、警察官に「撮るな」と一喝され、写真データを勝手に削除された。北京駅では自動小銃で武装した警察官に「入るな」と脅された。

 七年前は中朝国境の丹東まで向かい、鴨緑江の鉄橋を渡る専用列車を撮影できたが、今回は撮影ポイントの川沿いの公園は立ち入り禁止になったという。以前より厳しい警備に、社会の徹底管理を進める習近平(しゅうきんぺい)政権の姿勢を肌で感じた。 (安藤淳)