2018年06月29日
香港は物価も住宅も高いことで有名だ。米ブルームバーグ通信は今年1月、「8年連続で世界で最も割高な住宅市場」と報じた。日本の不動産研究機関によると、香港の住宅の分譲価格は、高級住宅街である東京・元麻布の高級マンションの2.3倍以上になるという。そのため賃貸型公共住宅への入居希望は圧倒的に多く、平均の待ち時間は3年を超えるそうだ。
一般の若い人がマイホームを手に入れるのは、まさに「夢のまた夢」。ならば、新婚夫婦はどうするのだろう。当地の事情通に尋ねると、実に気の毒な現状が浮かび上がる。
投資目的で不動産を複数所有する人も多く、運良く、そうした人物が親戚の中にいる場合には、彼らに頼って借りることもできる。しかし、新居を確保できずに、新郎、新婦が結婚後も、それぞれ親元で暮らし、当分の間、別居を余儀なくされるケースも非常に多いとか。「仕事を終えて夕食を共にして『じゃあ、また明日』って感じ」と事情通は苦笑する。
熱愛の末に結ばれ、できるだけ一緒に時間を過ごしたいはずの男女を襲う住宅事情-。切ない話だ。 (城内康伸)