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ソウル 「急行」のぞみ・ひかり

2018年07月16日

 「のぞみ」「ひかり」といえば東海道新幹線の列車。同じ愛称を持った急行列車が、日本の植民地時代の朝鮮半島を走っていたことを先日、知った。南部の釜山からソウルを経由して朝鮮半島を縦断し、南満州鉄道の奉天(瀋陽)や新京(長春)まで走っていたという。

 新幹線の「ひかり」は、光のように速いとの意味が込められ「のぞみ」は「希望」をやさしく言い換えたとか。列車の名前には、その時代の願いが込められることが多いらしいが、戦前の日本人はどのような思いで名付けたのだろう。

 のぞみやひかりが走っていた路線の一部である「京義(キョンウィ)線」は当時、現在のソウルと北朝鮮の新義州(シンウィジュ)を結んで1906年に全線開通。朝鮮戦争で完全に分断された。2000年の南北首脳会談で再接続することになり、07年に貨物列車の運行が始まったが、翌年には関係の悪化で運休した。

 文在寅(ムンジェイン)大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の首脳会談で、再注目される京義線の再開。日本も関わりがある南北分断の歴史を振り返りつつ、いつかソウルから北へと延びる列車に乗ってみたいと思った。 (境田未緒)