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ミャンマー・ヤンゴン 「タイ流」に人だかり

2018年07月14日

 到着ロビーにできた人だかりが、ガラス越しに、携帯電話のカメラを入国審査カウンターに向けている。4月下旬、バンコクからミャンマーの最大都市ヤンゴンの空港に着いた時、いつもと違う景色を目にした。

 見回すと、隣のカウンターに整った顔立ちの女性が並んでいた。「タイの女優の『マイ』ですよ」。私の後ろのタイ人女性が教えてくれた。

 マイことダビカ・ホーンさん(26)は、2013年にタイで歴代1位の大ヒットとなったコメディー映画「ピー・マーク」(邦題「愛(いと)しのゴースト」)にヒロインとして出演。この映画は日本を含むアジア各地で上演された。

 周りでは、入国審査の関係者まで、記念撮影を申し込んでいる。ミャンマーの出入国管理は融通が利かず煩わしいが、この時は人間くささがにじんだ。宿泊したホテルの従業員は「タイ映画は、若い人が好きかな」と話した。

 タイ映画以上に韓流ドラマが浸透し、韓国語学習熱にひと役買っているようだ。身近な文化交流は国の垣根を低くする。11年の民政移管後、開放政策に転じたミャンマーでそんな思いを抱いた。 (北川成史)