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中国・永定 見上げた商魂に感心

2018年07月20日

 米国がミサイル発射基地かと疑ったと伝えられる巨大な円形住居「土楼」。2008年に世界遺産に登録されたため、「土楼の王」と呼ばれ、福建省永定県にある4階建ての承啓楼には、住民と宿泊者以外は上ることができないといわれた。

 ちょっと落胆していたら、隣にある正方形の世沢楼で、女性が声をかけてきた。「上に案内できる」という。「両方とも世界遺産なのでは」との疑問を振り払って、1人10元(170円)を払い、義理の母だという70代の人の案内で見学した。

 1階へ降りると、くだんの女性がまた待ち構える。時間がないと断っても強引にお茶を勧める。最高指導部だった賈慶林(かけいりん)・元政協主席と一緒に記念撮影した写真が飾られた店内で「実は私はここには住んでないのよ」などと身の上話。結局、まんまとお茶を買わされてしまった。

 袋詰めが終わりお金を受け取ると、今度は店のすぐ横にある売店に移動し、別の客に商売を始めた。獅子奮迅の働きぶりに感心しながら展望台に登り、30分ほどして降りて駐車場に到着したら、今度は客引きをやっていた。バイタリティーあふれる商売人だった。 (安藤淳)