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ロシア・カリーニングラード 「飛び地」ゆえの風景

2018年07月22日

 社会主義の旧ソ連時代の名残なのか、ロシアには街並みの印象が似た地方都市が多いが、カリーニングラードは特殊な場所だ。

 ロシア西端、ポーランドとリトアニアに囲まれた欧州側の飛び地。第二次世界大戦の激戦の後、ドイツから旧ソ連に編入された。三角屋根の建築物や石畳、ドイツ詩人の銅像など、ロシアのほかの都市では見かけない風景がある。車で走れば国境はすぐそば。住民と話すと、心理面も比較的欧州と近いように感じた。

 対ロシア制裁への報復としてプーチン政権が禁輸とした欧州連合(EU)産のチーズやバターも売られているとの話を聞き、市場を訪ねた。

 確かにポーランド、リトアニア、フランス産などがあった。もちろん合法ではないが、住民が「警察が取り締まりに来て、自分たちも買って帰るんだ」と言うのだから、地域性ゆえのお目こぼしがあるのだろう。

 政権側は輸入代替で、ロシア産の品質が向上したとPRに躍起だ。市場の女性に、ロシア産とEU産のどちらを買うべきか、と尋ねた。すると「もちろんこっちよ」と指さしたのはEU産。この街では、舌も開放的なようだった。 (栗田晃)