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ソウル 登山の楽しみに異変

2018年07月27日

 韓国に赴任して初めて、登山に出掛けた。登山といっても、ソウルの中心部から1時間もかからず登山口まで行ける山。2時間ほど登って山頂付近に着くと、多くの登山グループが食事を楽しんでいた。その光景を見て、一緒に行った友人が少し驚いたように言った。「お酒を飲んでいる人がいない」

 韓国人は登山が大好き。手軽に登れる低い山が多く、週末のソウルの地下鉄は、登山服姿の老若男女でいっぱいだ。登山の楽しみの一つが、酒だった。「頂上酒」という言葉があるほどで、弁当を広げながらマッコリなどを飲む。

 だがこの3月から、多くの山で飲酒禁止に。昨年までの6年間で、飲酒に伴う転落などが64件発生し、10人が死亡したという。違反すると1回目は5万ウォン(約5000円)、2回目以降は10万ウォンの罰金が科される。「庶民の楽しみを奪うのか」などの批判も多かったが、禁酒を守っている人は多いようだ。

 友人が案内してくれたのは初心者コースとはいえ、山は岩だらけで、うっかりすると滑り落ちそうに。「飲酒してよくこんな道を歩けるなあ」というのが実感だった。 (境田未緒)