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ミャンマー・マウンドー 安定へ険しい道のり

2018年08月16日

 5月、ミャンマーのラカイン州北部を訪れた。イスラム教徒少数民族ロヒンギャが多く住み迫害が起きた地域に当たる。外国人は普段入れないが、政府がロヒンギャ難民帰還への取り組みを見せるため、一部の報道機関向けにツアーを設定した。

 宿泊は中心都市のマウンドー。政府手配のゲストハウスなので、町では良い方と思われるが、部屋にエアコンはなく、窓を開ける前提でベッドに蚊帳が掛かっている。扇風機はあるものの電力事情が悪く、電気の使用は午後6時~午前5時半に限られていた。夜間外出禁止令で、午後9時以降は外で涼めない。

 翌日、約50キロ離れたバングラデシュ国境際まで四輪駆動車で移動した。郊外に出ると、でこぼこの未舗装道が続く。車窓から家の焼けた跡や担い手が逃げた農地が見える。

 外国投資を受けて高級ホテルが立つ最大都市ヤンゴンとは格段の差。ツアー中、当局の説明はバングラデシュからの難民受け入れ手順が中心で、帰還後の生活支援の点は不十分だった。

 安定した暮らしを築くには、基盤から不足している。問題解決への道のりの遠さがにじみ出ていた。 (北川成史)