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カナダ・ケベックシティー 「良き隣人」だったのに

2018年08月15日

 「最も仲良しの隣人が急に攻撃的になり、長年にわたって築き上げてきた友情が失われてしまった」。先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)の取材のため訪れたカナダのケベックシティーで、米配車大手ウーバー・テクノロジーズの運転手クロードさんはそう嘆いた。

 良き隣人に例えたのは、カナダと特別な関係にあるとされてきた米国。だが、トランプ米大統領が就任後、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉でカナダ批判を繰り返し、最近はトルドー首相への激しい個人攻撃にまで発展したことで「自らが責められているような不快感を抱くようになった」という。

 かつては毎月のように車で気軽に米国へ買い物や遊びに出掛けていたが、最近は何となく気が乗らず、今年に入ってからの訪米はゼロ。

 乗車していた20分間、トランプ氏の話題は尽きず、徐々にヒートアップし、頼んでいた目的地を通り過ぎてしまうほどだった。

 「トルドー氏が毅然(きぜん)として言い返すのは当然だ」とクロードさん。あまり気にしていなかった国境を意識するようになり、愛国心も湧き上がっているようだった。 (後藤孝好)